LM380Nを利用した、1チップICアンプの製作(2)


今回はブレッドボードで音だししてみました。


きちんと基板に搭載してから音だしをしたかったのですが、発熱がどの程度なのかまったく想像がつかないので、実際に基板のパターンが引けなかったのです。


マチュアの作例だと、
・ICを基板銅箔側にひっくり返して取り付け、アルミケースに接触させて放熱。
・ICの足を開いて銅板に直接ハンダ付けし、立体配線。その後CPU用ヒートシンクに密着させる。
・ICサイズの超小型ヒートシンクをつける。
・銅板を短冊上に切り基板とでICを挟む。
などいろいろあるみたいで、どうやったらいいのか悩みました。
市販のキットだと放熱板が付いてないのはザラですし。


で、わけがわかんないから音出して、IC触って確認してみようと。


その図

....ついヤフオクでOSコンまとめ買いしてしまったぁぁ。


いやぁ。いい音します。エージングなど云々どころではなく既にいい音です。


ブレッドボードのいいところはハンダ付けせず即座に部品を変えれるところ。


ということでカップリングのコンデンサをさまざま変えてみたり、入力のマイラコンデンサの容量を変えてみたり、デカップリングをOSにしてみたり、スイッチング電源使ってみたり、バイクバッテリーで鳴らしてみたり、ACアダプタ直結してみたり、三端子レギュレータ使ってみたりと、やりたい放題で楽しいことこの上ないです。


で、その結果です。エージング無しですので参考になるのかわかりませんが。


出力カップリングコンデンサ

sus'con 470uF/16V 標準品(JSP-3Nから取り外し、12Vを30時間印加済)

  • >音が響かない、サ行が強調される。ラジオのよう。

nichicon 470uF/16V VX(M)(長期保存品、廃止統合品)

  • >上よりは遥かによい。低音が出ていない印象。

松下 1000uF/16V 小型標準(ECA) (新品)

  • >上と比較して、低音も出ている。上より全体的にやわらかい印象。

TK 470uF/16V UTSJ(新品、現行品)

  • >全体的に滑らか。余韻がよい。すごくいい。上より低音もきちんと出ている。バランスが良いのかもっと聴きたいと思わせる音。上で聞こえなかった楽器が聞こえる。


ICのパスコン

メーカー不明セラミック0.1uF(25年モノ)

  • >音がガチャガチャしている感じ

メーカー不明積層セラミック0.1uF(10年モノ)

  • >サ行が強くなる感じ。音の切れは良い。

OSコンSAシリーズ33uF/16V

  • >音に粘りがでる。躍動感があるというのかもしれない。音の切れも良いが、鳴り初めが上より良い感じがする。しまった音になったよう。ただ、SPシリーズ180uF/20Vと入れ替えてみたが差がわからない...。


入力のカップリングコンデンサ

メーカー不明マイラ0.1uF

  • >音がガチャついて騒がしく聞こえる。しかし嫌味はなく好みの感じ。

ニッセイ、マイラ0.047uF

  • >音がすっきりとこじんまりして聞こえる。透明感のある音。上より音量が減った印象を受ける。


電源

外付けCD-ROM用スイッチング電源(12V/2A|5V/2A) 12Vを使用

  • >MP3プレイヤーをはずすとハム音が凄い。結構な音でブーンとなる。つなぐと途端に小さくなるがまだ聞こえる。MP3を再生するとなくなる。音はいろいろ混ざっててよくはない。

ACアダプタ13V/400mA直結

  • >上記同様のハム音が聞こえるが、音量は低い。ハム音が少なくなったため、上では気が付かなかったサーノイズが気になってくる。MP3を再生されるとサーノイズはほとんど聞こえなくなる。普段聞く音量で、電源19.69V、回路全体の電流40mA程度(!?)。コンデンサの耐圧が16Vの為あわてて電源を切る。

ACアダプタ13V/400mA->松下7812。

  • >上記同様のハム音ほとんど聞こえない。サーノイズは、スピーカに耳をピタッとくっつけると聞こえるレベル。普段聞く音量で電源11.9xV、回路全体の電流40mA程度。


カップリングコンデンサ一つで恐ろしく音が違うことが面白かったです。自分で作る奴だし、おのおのの部品の値段もしれたものなのでたいしたプラシーボはないと思うんですが「どれか変えると良くも悪くも音が変わる」のは実感できました。あとコンデンサは長期保存品は性能がでていない印象。ニチコンの標準品は音がいいと評判があったわけなのに、容量はちがえど松下の方がよりいいとはどうにも思えない。定格電圧で電圧印加処理をすれば本来の性能で鳴るのかもしれませんが、少なくともアンプつくるときはコンデンサは新品使わないと無駄な時間を費やすと思いました。


入力カップリングコンデンサも、0.1uFと0.047uFでかなり差があります。メーカーも容量も違うのでなんともいえませんが、0.1uFの場合は「低音域でNFB量が減る=バスブースト」なので低音が強調されるのは間違いないです。NFBが減ることで歪みもでているようですが、自分的には0.1uFの場合の方が聞いていて楽しくなる音でした。0.047uFの時はすっきりとした音です。アカペラの女性ボーカルを聴いてみたところゾクゾクする音でした。またまったく逆でパフュームを聴いてもみたんですが、なぜか1Kっぽいシンセブラスの音が異様にストレートに延びてきたのが印象的でした。


電源はいろいろやってみましたが、無入力時のノイズが酷いので、ACアダプタ+三端子レギュレータを使うことにしました。ACアダプタ直結でもかまわないと思うのですが、13V/400mAのアダプタを、19.6xV/40mAで常用するのは問題があるような気がするので。また三端子レギュレータを使うことでサーノイズは激減しました。とはいえ、ONKYOのGX-70Aも無信号時にたようなサーノイズはでてますのでどちらがいいかは結局のところ好みで決めるしかないように思います。
書き忘れましたが、ノイズ的には「バッテリー最強」です。でも一時間近く鳴らすと電圧が8V近くまで下がりバッテリーそのものにトドメさしてしまう(ディープサイクルでないバッテリはこの時点で回復不能な性能劣化を起こしている)のでお勧めしません。
実際刺しました。トドメ。いまバッテリ二年前の倍額なのに...._no


あ、肝心のICの発熱ですが、自分の使う音量ではほとんどありませんでした。普段聞く音量より多少上げて鳴らしてみたものの、PCのチップセットレベルの発熱はなく、指先に意識を集中すると多少熱をもってるかな、と気が付くレベル。チップに適当な小銅板貼り付けけておけば問題ないと思います。