Chu-Moyヘッドホンアンプの製作(3)

2011/12/13日追記
googleで検索してここがヒットしているらしいので、追記しました


この一連の記事の試行錯誤のものは失敗作で、最終的に製作をキャンセルしています。
実際に製作したものは以下の記事のものになります。
Chu-Moyアンプをリベンジしてみる(その8) - 砂の小瓶とMythTV
リベンジの4回目くらいからが製作記事で、その前のは仕様決定までの検討です。


リンク先のChu-Moyアンプの特徴は

  • 安価で一般的*1なバイポーラオペアンプを利用
  • 増幅率は約4倍
  • 16〜32Ωのイヤホン・ヘッドフォン向け(ポータブル機器の非オーバーヘッド型を想定しています)
  • 極小出力オフセット電圧で、イヤホンに余計な負荷をかけない
  • Trによる中点分圧式の電池電源
  • 出力抵抗の位置を変更してより安定に(本家Chu-Moyで間違っているといわれているところを改善)
  • 日本製の部品ばかり使用

を達成して実際に製作し、現在*2も週3くらいで常用しています。


簡単に言えば、自分の利用環境(PCやMP3プレイヤーおよびイヤホン)や、当時既に所持していた部品に併せて適切に変更入れ、ノイズがでたりオフセット電圧がでないようにひと通り計算しなおしただけです。


簡単で安価でなかなか音がよいです。
部品代と送料併せ\2000程度で完成します。


バラックで音を出してみる。

ブレッドボードでSMDは使えないので、普通に足付きの部品で確認。
オペアンプはNJM4580DD
パスコン太陽誘電の積セラ、
電源/カップリングコンデンサは松下。


Chu-Moyは出力カップリングコンデンサが必要なく、オペアンプの出力をそのまま聴けることがウリだが、出力の抵抗10Ω(秋月抵抗)につないだところこもったような音で聴けたものではない。
増幅率を5倍から10倍にしたら音が出ず、ザザザとノイズ->直流がイヤホンに流れている->燃える、ような気がしたので、急遽カップリングコンデンサを入れました。
入れたあとは大音量が鳴り響きました。鼓膜が破れるかと思いました。
ということで、直流、出力オフセット電圧が出ているのは間違いないようです。


写真の状態で、入力にMP3プレイヤーをつなぎ、音量をあげていくとサーノイズが載る。
その状態で、MP3プレイヤーをはずす(入力をオープンにする)とノイズは皆無。

Chu-Moyアンプをつけずに同様に音量を上げていったときは、サーノイズなど一切載らないんで、これはどういうことなのか解らない。



上の写真の状態でのレビュー
・Chu-Moyを入れると、音はまろやかな音になる。低音がのたらーっとまとわりつくようにでてくる。嫌な感じはない。
・Chu-Moyを入れずに聴いたときのシャカシャカ音がだいぶなくなる感じ。
・電源のコンデンサをOSコンにしてみると逆にシャカシャカどぎつくなる。LM380Nの時はスピーカだったからギュルギュルうっさいなぁと思うくらいだが、イヤホンの場合は曲全体が盛大なノイズに聞こえる。
電解コンデンサを音響用にしても何も変わらず。ダイナミックレンジの狭いイヤホンだから??
パスコンは積セラとフィルムでは印象が違う。やっぱりフィルムの方がまろやかになる。



ノイズが載るのを解決できないかぎり、この製作は取りやめです。イヤホンでは致命的です。


09/06/18 追記
ノイズの原因がわかりました。
入力バイアス電流(PNP入力なんでOPAMPから回路の前の方に流れ出す)が、R3に流れることでそこに電圧が生じ、その電圧が増幅されて出力オフセット電圧になる....らしい。
つまり、この入力の電圧が少なくなるようにR3を設定し、それが増幅されても目立たない位に、増幅率を下げればいいようです。
あとは右と左で共通になっている中点GNDが揺らがないように、電源コンデンサは大容量のものにし(1000uF以上お好み)、中点設定抵抗の値を下げる(4.7k->2.2k)などすればよいらしい。


明日やってみよう。
でも増幅率3.2倍ならボリュームいるよね多分。



09/06/19 追記
入力のカップリングコンデンサを、原典のように両極性のニチコンESに変更しました。
これで、出力のカップリングコンデンサをはずし、10Ωで出力した場合でも音がざらざらになることは
なくなりました。
出力オフセット電圧を測ってみたら1.1mV程度です。
しかし、うちのテスタの200mVレンジでは、誤差の範疇にあるほどの小さいレベルですのでまったくあてにならないです。



音量を上げるとノイズも大きくなる件について。


そもそもヘッドフォンアンプとは、ライン出力をイヤフォンやヘッドフォンにつないで使う場合に、適切な音量レベルまで下げることを目的としたアンプのこと。
上記の使い方の場合、ライン出力の信号は大幅に縮小されてからヘッドフォンアンプで増幅されるので、出力機器のノイズ(サーノイズの場合GND電位の揺らぎ)も音声信号とともに縮小されほとんど目立たなくなる。


しかしポータブルMP3プレイヤーのように、16Ωなど高効率イヤホンでの使用を前提としたような、小信号出力を増幅する場合、上記とは逆になり音声とともにノイズも拡大、増幅してしまう。
だからノイズが大きくて使い物にならないと感じることになったんだと思う。


そう考えると一昨日の結果も納得がいきます。


ただし、ノイズが気になるといっても、それはMP3プレイヤーの出力を普段の倍以上にし、ヘッドフォンアンプのボリュームを最大にした状態の普段ありえないケースでのことであるので、普段聞く音量では気になるくらい目立つようなことはないと思います。



いやでも100Ωのヘッドフォンとかあるしなぁ。
ヘッドフォン出力に対応していない小信号出力ラインアウトのPC用サウンドカードに、ヘッドフォンアンプ使ってるっていう事例もあるし。
その場合やっぱりノイズも拾ってるのかなぁ。
わからんーーー。
もうとりあえず作ってみることにしました。

*1:数千円の音響機器に利用されている

*2:2011年12月現在