私のロマンと科学

東北大学半導体技術の基礎研究と光ファイバ技術の実用化に邁進なされた、西澤潤一先生の本です。


先日NHKの番組で『NHKアーカイブス 光通信に賭けた男 〜独創の科学者・西澤潤一 』という番組をやってて、見終わった後wikiで検索してみたら最下段に紹介されてました。
どっかで聞いた本だなあと思って本棚をあさってみたら出てきました。
うちの学校の道徳(!!?)で使われた本だったと思います。
技術者はかくあるべしっていうわけです。


道徳の授業なんて出席して寝てれば単位はいただけたし、本がラノベの文体とは正反対で、どちらかというと聖書に近いので正直苦痛意外の何者でもなかったし、本の中にかかれていた近い未来に危惧される産業工業界の問題なんかも、バブルがはじけて一年目か二年目の私にはいまいちピンとこなかったというか、なんの理由もなくまた景気よくなるだろう程度に思っていたので心に刺さらなかったのを覚えています。


ですが、今更になってきちんとこの本に向かい合って読み進めてみると、西澤先生の見識の確かさには驚かされるばかりというほかありません。
この本に書いてあることは、この10年に起こった工業界の苦境の現実そのものでありました。




また読了しているわけではないですが、この本はおおむね目先の益にまどわされず、『腰を据えて仕事をしろ』といっています。
自分の管轄だったり責任があるといって、部下や他人の論文の一番頭に名前書いたりするような遠慮知らずの高名さを求めても、世界初の大発見につながることはまずないし、その発見が産業を構築して雇用を生み、国内を潤すことはまずないということらしいです。


また教授と学生の関係についても若干記述がありますね。
明治時代から戦前までは、教授の研究を理解し人柄を理解した学生とその学生を暖かくも厳しい目で見守るような教授の、前時代的とも言える師弟関係に支えられた研究とその成果が、産業の礎になったとあります。
最近というか20年くらい前の話ですが、学生の成績つまり偏差値の高いほうから有力な研究室を希望し、また有力な教授から順番に優秀な学生を選択するようになってますけども、生徒側が信望している教授の下で必ずしも学べるわけではないこのシステムでは、前述のような教授と生徒の師弟関係などはついぞ生まれず、師の思想を理解した弟子が研究を引き継ぎ、実のなる成果をあげ、産業にまで発展するようなことはそうそうないだろうとの考えらしいです。


これは東北で金属産業が発達したことをもってきて書かれているらしいです。
私は残念ながら金属にはまったく興味がないのでなんともいえないですけども。



そんな感じで硬い硬い文体ながらも、少しずつ理解できる範囲で読み進めております。
面白いです。
面白いなんていうと超絶怖い西澤潤一*1先生に怒鳴られそうですが。

そういやかの山中教授の研究も基礎研究だなぁ

宝の山は誰もやってないところにあるってことですねぇ。


ちなみに

西澤潤一先生は、ビックリするぐらいのイケメンというか美男子です。
まるで映画俳優。
天は人にニ物を与えたりするんですねぇ。

*1:NHKのドキュメンタリーみたらこっちまで怒られてるこころもちになる