残響のテロル #01-10

最終回を待たずに残念ってことで。


DIYチックに爆弾作ってドカンと一発っていうような、ダッシュ村を彷彿とさせるようなMake:的学生の悪ノリものづくり系前半パートから、その裏番組であるNHKの連続時代物ドラマみたいに俺の説教が呑めねぇのか的な感じになってしまったことがこのアニメの評価を著しく残念なものにしてしまっています。



最初のうちは面白かったんだけどなぁ。
爆弾を作って設置して、爆破前にちょっとした細工をしかけてターゲットの建物から人を遠ざけて、犯行予告ムービー出して、実際に爆発さして現場確認みたいな、『仕事』の手順とその一部始終を丁寧に描いているところが実に好印象でした。


しかし回を重ねるごとに、だんだんとアニメのスタジオで手間隙のかかる彼らの手元は描かれなくなり、その代わりに着やせする胸がでかいだけの食材無駄に使うよくわからんグズ便所飯を選択してしまった薄幸の美少女の一言に、若く美丈夫で金もあり知恵と知識とやる気と度胸のすべてを備えている、男から見ても考えうるに最高の男子二人が惑わされるようになっていきます。
この傾向は刑事側にも適用され、テロリストが暗躍した痕跡を丁寧にたどり、彼らの挑発的なムービーの煽りにひっかからずに裏に指し示している事柄にたどりついた窓際の刑事も、彼らのルーツとなる収容施設形成の立役者と対峙したあたりから観念的な物言いをするようになります。


つまり最終回に近づくにしたがって、NHKの日曜8時のドラマみたいにその空間の主役となる人物の鶴の一声によって場の方向性が決まってしまうような、大奥みたいな感じになってしまいました。
若者二人の純粋な意思と行動が、それ以外のどうでもいいい奴に捻じ曲げられる、いわゆるどこにでもある現実の、いつもの感じです。
あまりにも残念ひまわりない。
実にもったいない。



まあでも面白かったよ。
すっげぇ綺麗だったし。
ヒロインに辛くあたった女どもは例外なく不幸になったし。
主役の男子二人は知的で金持ちでシュッとしていることに加え、彼らのパパママそして社会的に所属している団体が存在しない独りモノで面倒くささもなく、加えてなにやらかすかわからん破天荒さがミステリアスでドキドキする系の魅力であり、いわゆる結婚と恋愛は別モノっていうセリフが聞こえてきそうなときに女子が望む完璧な後者のオトコの人物像でありましたし。


ようするに女向けだったのよ。
そんなのハナからわかってましたけど。
ここまで完璧だとある種の様式美に感じられるほど。
時間返せとはいわんが、やっぱり俺は男なんでどうにもこうにももやもやする。




駄目駄目だった前番組の埋蔵金なんたらのほうが好きでした。

最終回も見終わった

綺麗に納めたなー。


すべての謎も伏線も拾い、犯人側の動機も刑事の推理をナインが認める形で露になった上で、米軍が始末。
事件の発端になった収容施設形成の立役者たちは、いわゆる東京裁判と同じ流れで全員裁かれたような新聞記事でお終い。
天上で爆発したにもかかわらず、都会からは人が去ったみたいな印象でお終い。
リザが通う学校からも複数さったようで、イジメのターゲットから開放されたようで、鬱々とした1話の印象からはかけはなれたすっきりした顔で墓参りときたもんだ。


うーん、ちょっと前にアメリカンニューシネマみてたから、このアニメも最終的に道なかばでイケメンデュオの目論見は巧いこと運ばなくなって、気がついたら死んでたみたいな悲惨な終わりかたをするかと思いきや、きちんとやることやって旅立ちましたな。


画から音楽から脚本から演出から〆まですべて綺麗だったような気がする。
女子が最終話以外ぐだくだしてた以外には文句のつけようがない。