読売テレビ開局55年記念ドラマ「怪物」

CXの物理ドラマより面白いと思う。



面白かったのだけど、どこが面白かったかうまく説明できないので、例によって箇条書き。

  • 主役の佐藤浩市演じる窓際刑事の心情の変化、刑事としての理念と、悪人をどんな手段を使ってでも裁きたいという心の葛藤がとても面白い
  • ヒロイン役の多部未華子が、復讐を果たし向井演じる悪役科学者と接触するようになってから、ジワジワと侵食されるように変わっていくところが面白い
  • 悪役の向井理が、刑事と秘密を共有するようになってから論理的に精神攻撃をかけてくるのが面白い。
  • 悪役の両親が入水自殺した貯水池で、刑事と悪役が正義の立場から最終対決するが、論破されたあげく頼みの綱のヒロイン役も、悪役を理解し同類と認識しなびいてしまったところで完全に敗北するが、このラストの一部始終がとてもよい
  • プラントの映像のロングショットがかっこいい。昔の古きよきFF7っぽい。


登場人物の心の動きが、手に取るように伝わってくるのがとてもよかった。
物語全体が破綻しないように、裏を取り説明を繰り返しであらかじめクレーム対応をしながら時間をつなぐ最近の日本映画やドラマの中にあって、このドラマは『物証が出ない』という一点を免罪符につかい前述したどうでもいい事柄はほどんどカットしてしまい、心情の揺らぎに重点が置かれて編集されている感じです。
割り切った分だけ表現したかったものが印象深くなり、結果としてとても引き付けられるドラマになってたと思います。


でも最後のパトカーと音楽はどうかと思う。
蛇足というか、全体的に『SEVEN』みたいに進むのに、あのシーンだけ『踊る』シリーズの匂いがする。
栗山さんは出したからには使い切りたかったんだろうな。
刑事の世代交代の意味もあったのかも。
中学生が自首しようとしたところも、ダークサイドに落ちた刑事に直接凶器を見せたところが、二言三言言われ振り絞った勇気を握りつぶされる感じで廃人同然にされて動けなくなってしまえば、刑事の堕ちップリが際立ってよかったかなぁなどと思ってみたり。



まあ、とても面白かったです。
主役の三人はとにかくすげぇ。