NHKスペシャル - メイド・イン・ジャパン逆襲のシナリオ? -第1回 ニッポンの会社をこう変えろ

面白かったけど長かった。


一言に要約すると『君の話をみんなで聞くから、よくなると思うなら何でも言ってくれ』ってことらしい。

三人寄れば文殊の知恵ってことわざを、真剣に現場でリスペクトしただけというか。


そりゃそうだよね。
アメリカその他みたいに企業の幹部になるような高等教育を受けた知識層と、工場で機械に混じってねじ回しするだけの労働者層で、計算能力やら思考能力やらが天と地ほど違うくらい致命的に違うなら、トップダウン方式でやったほうがうまくいくと思う。
でも日本ではそこまで違わない。
スーパーのレジ打ちの娘だって、そろばん何級とか持ってて暗算が恐ろしく速かったりするわけで、これこうこういう風にやったら効率的だなって自分で考えて行動する。
現場にいないのに、こうやれああやれって決め付けてやらせるより、そのグループごとに最適と思える方法でやらせたほうがうまく回るに違いない
やりたいって感じてる奴にやらせる、下っ端や部外の人間でも考えていることの発言を許すことは、不満を解消させることにもなり鬱病対策にもなるでしょう。


この番組みて思い出したことがある。


自分は中学の時バスケットボール部に所属していたが、市内の大会で二回戦を勝てるかどうか程度に弱かった。
それと比較して私たちの10年くらい前の先輩たちは、市内で優勝したり県大会でベスト4に入ったり入らなかったりというくらいに強かったらしい。


強かった先輩たちと弱かった私たちで何が違ったかというと、自分たちで強くなることを考えたり話し合って試行錯誤したかどうかということだ。


先輩たちの時代は、バスケ部そのものがなかったらしく、生徒の要望で部が組織されて始まった。
顧問は余ってる超文系*1の50過ぎの先生で、バスケについては何一つ知らなかった人だ。
でその顧問は何をやったかというと、部活をはじめる前と後でミーティングを行い、部員一人一人に何について練習するか、練習して結果はどんなもんだったかというのを話し合わせるということだった。
ミーティングが終わったら職員室に戻って自分の仕事してたらしい。
このミーティングの内容は、体育会系の部なのに部員全員がノートに取って、それを体育館に持っていってチラチラみながら練習したそうだ。
わからないときはわかる部員に聞いたり、本を読んで自分らで調べたらしい。


やる気がある奴らを信用して自由にやらせたわけだ。
悪く言えば丸投げともいう。
ということで先輩たちはわずか数年で市内でトップクラスに成長した。
勝手に強くなって楽しく勝ったわけだ。
スラムダンクブームの12年くらい前の話しだ。


それに対して私たちのときはどうなったかというと、若いバスケット好きで知識の豊富なわりと熱血気味の体育教師が顧問になった。
なんかよくわからないけど、学校関係者じゃないひげ面の40代くらいのコーチもついた。
練習メニューからなにから完璧に決めてそれを毎日こなすような感じの毎日だったが、体制や環境は明らかに先輩たちよりよくなった。
学校としては、より強い部にテコ入れするはの当然のことだったんだと思う。


だが、そうはうまくは回らない。
約二時間半を、全力疾走とインターバル走を、部員全員で絶え間なく繰り返すような空間である。
最初の20分が終われば、駄目な点を考えたり意識して動きを強制するなどいう余裕などなくなる。
練習が終わればプチ廃人も同然で、いい点はもちろん悪い点すら振り返る余裕もない。
夏休みの間は、トップガンのテーマから始まるアメリカのトップチャートメドレーが40分x2で流されるとかいう感じだったが、その音楽の間は基本的にやる気満々で走ってなきゃいけなかった。
音楽が終わると短い休憩とともに自主的なシュート練習であるが、疲れきってて集中してやれるわけがない。


ミーティング自体はあったが、どこが悪くて何をすればよくなるなどを部員が考えて発言する機会はなく、根性を示すために勢いつけて叫ぶように宣言する*2みたいなことをやるだけだった。
走るのが不得意な奴は走り込み増やしてスタミナつけるとか、ロングシュートが苦手な奴はシュート練習を増やすとかそういうのがなく、顧問とコーチの指導をみな一律にひたすら繰り返しただけだった。
練習メニューについて行ける奴と、そうでない奴がいるわけで、能力の足りない奴はうまくやれてる奴からキツく当たられたり*3して、部内の雰囲気は結構悪かった。


日々の練習を要求されたようにこなすことが主になって、試合で勝つための試行錯誤は従なのである。
その結果の弱体化である。



考えないし話し合わない*4ってことが、どれだけのことかということである。

*1:そういや文化祭で自作のステレオアンプ展示してたな。ネットがない時代。部品は本みて通販。初段のデュアルトランジスタが百数円の時代。すげーなマジで

*2:いわゆる古いタイプの営業の朝礼儀式みたいなアレ

*3:顧問やコーチが場をはずすと、特定の先輩が胸倉つかんで体育館の壁まで押していって、そのままドンと体当たり気味にぶつけて気合いを入れる『かわいがり』が存在してたな

*4:下っ端の意見を許さない